「この時間」というのは難しいですが、普段見ていて一番動きがあるのは、朝一から10時頃までの間です。ライオンの場合、夜は部屋で別々に過ごしているので、朝一に一緒になったときにまずお互いの挨拶のような行動が見られ、じゃれあったりとコミュニケーションが豊富です。午後もそのような動きが見られますが、「いつ」という時間帯をはっきり言うのは難しいです。
ずーっと獣舎で見ているわけではないのでなんとも言えませんが・・・夜行性の動物なので本当は夜のほうが活発になると思います。動物園の飼い方だと夜は部屋での生活になってしまい、構造上活発に動くことはできないのかなと思います。一日中外にいたら、活発に動くと思います。
そんなに広くなくて本当に「寝室」という感じです。たぶん狭いところは好きだと思いますが、自分の体がすっぽりはまるサイズが好きという感じだと思うので、部屋が好きかどうかはわからないですね。
段ボール箱なども好きだと思います。ただ、ここはモート造りなので、箱に入って遊んで、万が一転がってそのまま落下してしまってもいけませんし、やってはみたいけども実際に段ボール箱を置くことはできないです。
基本的にはセルフグルーミングでケアをするのでブラッシングはしないです。トレーニングでケアするというのは、あんまりまだ日本ではできていないです。海外ではトレーニングを経て爪切りなどをしているので、やってみたいとは思います。
日常生活の中で、丸太などを頻繁に変えて自然に爪とぎさせるのがベストですが、歳をとって動きが悪くなってきたりすると、(爪とぎが追い付かなくて)伸びてくることもあります。そういのはケアはしてあげたいですが、ゾウのようにトレーニングが確立されている動物ではないので、やりたいけど難しいのが現状です。やりたいはやりたいです。
普通に売っているマタタビ(粉末、スプレー、木の棒)をやったこともあるんですけど、ここの3頭で反応がよいのはオトです。実際に猫用の小さい棒をあげたとき、くわえてすごく嬉しそうな感じで、普段見ないような顔をしていました。ハヤテはほぼ無関心、マリンもあまり反応しなかったです。
売っているのは小さな木の棒なので、大きなものをやってみたいなというのはあります。マタタビを山で探すのは結構難しいようなので、マタタビと同じような効果のあるキウイの枝を与えてみたいですね。キウイは猫が根っこを掘り返すくらいマタタビ効果があるらしいです。
野性味あふれている感じは、オトが一番ですね。モノに対しても、人に対しても。甘えた表情は見せないです。マリンとハヤテは本当に人が好きです。ハヤテは部屋の中にいても「体を触ってくれ」って檻に体を寄せてきます。
うーん、そうですね・・・でもそれも一番可能性があるとしたらオトです。同じ姿勢を維持させるためにエサを使う方法が一番なんですが、ハヤテはそこまで貪欲じゃなく、たとえエサがあったとしても「普段と違うことをするんじゃないか」と警戒してしまってダメです。でも貪欲タイプのオトはエサがあれば何でもするので(笑)、そういうのを教えるにはオトが一番かな。
ハヤテの採血は一回やろうと思ったのですが、普段とは違う狭いスペースに誘導して採血するため、警戒してしまって難しかったです。マリンもハヤテと同じように警戒心が強くて難しいです。オトは、最初は警戒していたのですが、慣れるまで早かったです。
オトから頻繁に血液を採れ始めたのはここ2~3年で、オトについては検査できています。ハヤテはそれができないので、血液ほどいろいろな情報はもらえませんが、尿検査をしています。朝「身体触ってくれ~」と寄って来ますが、棒につけたブラシで背中をこすってあげているときにおしっこをするタイミングが意外とあるので、カップを檻の中に入れて受け取り検尿しています。
マリンの場合、普段の生活の中から尿をとるのは難しいです。やるとすれば、出したばかりのおしっこがあったとき、それを注射器で吸い上げてとります。
ハヤテとマリンから採血するならば麻酔しかないです。麻酔をするタイミングがあればそのときに採血をします。ただ、負荷を考えると頻繁に全身麻酔はできませんし、(体調管理のためだけに)そこまでやる必要はないと思います。
ライオンとトラは群れで生活する・単独で生活するという違いはありますが、のんほいパークのようにライオン・オスメス1頭ずつ、アムールトラ1頭の飼育環境では、そんなに飼育方法は変わりません。
ライオンを複数等飼育しているならば、例えば「エサがみんなに均等にいきわたっているか」「この糞は誰の糞か?」など見るべきところが多いですが、うちの場合はハヤテとオトのペアが糞をする場所は大体決まっていますので、すぐに確認できます。すごい数を飼育しているのではないので、今ののんほいパークにおいては飼育方法にそんなに差はありません。
ライオンにあげたことはありませんが、実はマリンにあげたことがあります。マリンは昔から食が細く、鶏頭(ケイトウ)や肉を残したりするときがあります。食いが悪いときに、栄養としてキャットフード(動物園でも猫用のフードを買っている)を与えたことがありますが、全然食べませんでした。匂いもあるので反応するかな?と思いましたが、なめることもしませんでした。あと、肉に入れて与えたこともありますが、違和感があったのか、「ぺっ」として食べてはくれませんでした。他の園館でもあげているというあまり話は聞いたことがないですね。あげるとしてもサプリメント(を入れたお肉)くらいかな?
オトがハヤテとじゃれあっている時にノドを鳴らしているのは聞いたことがあります。マリンはノドを鳴らすより、鼻を「クンクン」鳴らして寄ってくる感じがありますね。野生のトラ同士だったらもしかしたらあるのかもしれませんが、飼っている中では聞いたことはないですね。
ライオンに関しては、見てわかると思いますがそんなにしなやかな尻尾ではなくて硬めです。
マリンは、顔は向けないけど猫のように尻尾でパタパタ反応することはあります。
ハヤテも、夜(飼育員さんたちが)帰るときに「じゃあね」と言うと、寝ているけど尻尾だけ反応することはあります。オトは尻尾での反応はあまりないです(笑)。
他に猫っぽい仕草としては、先日オトが(猫好きの間で人気の)ごめん寝(前足に顔をうずめるて寝る仕草)をしていました。マリンだったら、丸くなって寝ているところが猫っぽいです。
全体的に猫っぽいですよ。ただ、家で飼っている猫のようなしなやかさはないです。大きいネコ科は身体が頑丈にできているので。(体を曲げて)自分で全身をきれいにすることは出来ます。
マリンは、貯まった水に近寄る鳩を見て、尻尾を振って狙うことがあります。オトもそうですね。
あとは、昔、クジャクが複数羽放し飼いにされていたときの話ですが、猛獣エリアのほうまで来るクジャクもいて、(放飼場の)壁の上にあがったクジャクを見てオトがすごい勢いで狙ってた、という話を聞いたことがあります。
朝、もぐもぐひろばに向かって走るヤギをオトとマリンがよく見てますね。そういうときに野生っぽさを感じますね。ハヤテはあまり気にしないみたいです(笑)。
ブイと消防ホースは比較的最近に用意したものですが、オトは両方好きですね。消防ホースを噛んで、ぐいぐい引っ張って、ずーっと置いておくとすぐボロボロにしちゃうんです。なのでたまに換えて。ボロボロになったところはカットしたりしてます。オトは、噛みつくことができるものが好きです。ブイも交換したてのときはバンバンパンチします。おもちゃは何日か経つと飽きてしまうので、ライオンとトラで交換しています。
以前、飼料袋にワラを詰めたものを与えたことがありますが、バリバリ引きちぎっていました。ボロボロになってしまい、誤飲の恐れがあるため今はやっていません。元々顎が強くて「噛みたい」という衝動があると思います。
ハヤテについては、(おもちゃに)触りもせず、「安全な物かな~?」といった感じで眺めるだけですね(笑)。
インタビュー日:平成30年12月7日(金)