極地動物館エリア(3)ペンギンたち

のんほいパークにいる4種類のペンギンたち。どれも特徴があって見ていて癒されます。そんなペンギンたちに関する質問をしてきました!

ペンギンに関する質問

外にフンボルトペンギン、室内にオウサマペンギン、ジェンツーペンギン、イワトビペンギンと2か所に分かれて沢山のペンギンがいますが、それぞれ過ごしやすくするために工夫していることがあったら教えてください。

屋外にいるフンボルトペンギンは、ペルーやチリなどの比較的暖かい地域に生息するペンギンです。日よけを設置したり、週に1回落水掃除を行ったりしています。

また、ペンギンのペアそれぞれに専用のお家を用意しています。部屋を余分に作ることで、喧嘩が起きた際に逃げ込める場所を確保しています。ただ、年に1回ほど、若いペンギンが高齢のペンギンのお家を乗っ取ろうとすることがあり、その際は対応が大変です。

お家には人工芝を敷いており、これにより足への負担を軽減しています。摩擦や傷から膿が生じ、「趾瘤症(しりゅうしょう)」という足の病気になりやすいのを防ぐための工夫です。

一方、屋内の極地ペンギンの環境では、月に1回照明を調整して南極の日照時間に合わせています。これにより、ペンギンたちは「繁殖期が来た」「換羽の時期だ」と本能的に感じ取ることができます。屋内では年に1回落水掃除を行い、それ以外は汚れた際に潜水掃除をしています。

ペンギンたちにはそれぞれのお部屋があります!こちらはご夫婦でしょうか?寄り添う姿にほっこりです!
お魚を手で食べさせているのを見ましたが、1羽につき何匹食べさせるか等が決まっているのですか?

ペンギンは約70羽飼育しており、1羽ずつ餌を与えるのは大変です。そのため、高齢個体や少し体が弱い個体には手渡しで餌を与え、何匹食べたかをしっかりチェックしています。その他の個体には餌を撒いて与えています。1回の食事で約5尾、1日では10尾程度の魚を食べます。

また、ペンギンは1年に1度「換羽」の時期があり、この時期は羽が抜け落ちるため、非常に体力を消耗します。換羽前には体力を蓄えるために普段以上に餌を食べ、体重が通常の1.5倍程度に増加します。人間に例えると、体重50キロの人が75キロになるようなイメージです。この時期には1回の食事で40尾ほど食べることもあります。時には食べ過ぎて「食滞」を起こす個体もいますが、基本的には無限に餌を食べ続けるような食欲を見せます。

ペンギンたちが結構ぐいぐい食べにきていましたが、手を噛まれたりしませんか?

どう思います?しそうですか?(笑)

噛まれます!わざとではなく、餌と間違えてですね。
ジェンツーペンギンは口ばしに餌を当てるとそのまま食べてくれますが、フンボルトペンギンはとても元気で、少しでも餌が上に見えるとジャンプして食べようとするため、間違えて手を噛まれることがあります。特にフンボルトペンギンは口ばしが尖っているので、噛まれるとかなり痛いです。

最近では、飼育員の近くにいると餌をもらいやすいことに気付いたようで、ペンギンたちの約半分が飼育員の周りに集まるようになりました。

ペンギンたちの餌やりタイムは必見!ものすごい勢いでごはんをねだるペンギンたちをぜひ一度はご覧いただきたいです!
飼育員だからこそ知っているペンギンの可愛いところを教えてください。

一生懸命に愛を求める姿がとても可愛らしいです。好奇心旺盛なジェンツーペンギンは遊び方が上手で、その様子を見ているととても面白く感じます。

4種類のペンギンは、種類ごとに性格や行動パターンに違いはありますか?

オウサマペンギンは結構おっとりしていて、喧嘩してるのもあんまり見たことがないです。イワトビに喧嘩を売られても紳士的なペンギン。常に愛を求めていてよくペアが変わるので、気づいたら三角関係とかあったりします。

フンボルトペンギンは、野生感が強くてあまり人に甘えない印象があります。野生感が強いと繁殖がうまくいきやすくて卵を産みやすいですけれど、人に慣れ過ぎると人に求愛しちゃう子もいます。

ジェンツーペンギンは本当に好奇心旺盛です。でもちょっとビビりなところもあって、掃除をしていると近づいてホースで遊びたがるけど、バケツを倒したりするとみんな逃げて行きます。野生でも研究者にも近づいたりするので、研究者が研究しやすいといういい点もあります。

イワトビペンギンは、まあ、気が強いですね。巣の取り合いとか、オスとメスが仲良くしていると思ったらメスに先にご飯をあげるとオスがメスに怒って「俺が先だ」と怒ったりします。

行動パターンは、オウサマペンギンは足の上で卵を抱きますが、他の種は巣をつくってその上に卵を産むスタイルです。

おっとりした性格のオウサマペンギンですが、実は飼育員さんも感心するほどの愛の探求者だったのでした!
フンボルトペンギンは結構低い声で「ボェー」と鳴いているのを聞きますが、他のペンギンも鳴きますか? また、どんな風に鳴くのでしょうか?

いま館内ではペンギンたちの音を拾うマイクをオンにしているので、ぜひ聞いてみてください。

オウサマペンギンは求愛する時に二羽ともくちばしを上にあげてお辞儀をするんですけど、その時に「クンクンクンクン」と鳴きます。

ジェンツーペンギンとかは、怒る時に「シャー」「ニャオー」と猫のような鳴き声で威嚇をするときもあります。

イワトビペンギンは「ピィー」「キュルキュル」。4種全然違う鳴き方をします。

よく雛が生まれていますが、ペアは固定ですか?

基本変わります。オウサマペンギンはよく変わります、たまに親子で組んでしまうんですが、血統はよくないので、別れさせたりしています。

どのペンギンも増やしていいわけではなく、フンボルトペンギンとジェンツーペンギンはどこの園でも見られるぐらい数が増えているので、繁殖しすぎないように管理しています。

オウサマペンギンとイワトビペンギンは、全国でとても数が減っているので、どんどん増やしていこうとしています。

貴重なイワトビペンギン。岩の上のほうで過ごしています。繁殖が成功することを祈っています!
飼育員さんおススメの時間帯、注目ポイント、などがあったら教えてください。

オウサマペンギンの振られてもずっと追いかける「一生懸命に愛を追い求める姿」は可愛いですね。

好奇心旺盛なジェンツーペンギンは遊び方が上手だなと思います。

(どんな遊びをしていますか?)

ジェンツーペンギンはホースやバケツ、餌など、さまざまなもので遊びます。特に石を使った遊びが好きで、石をいろいろな場所に運んだり、お気に入りの石で遊んだりしています。時には石の取り合いが原因で喧嘩をすることもあります。

極地ペンギンは15:00にご飯をあげているのですが、その時のジェンツーペンギンのイルカ泳ぎに注目してほしいです。ジェンツーペンギンは泳ぐのが一番早いので見てもらえればなと思います。

2024年は可愛らしいジェンツーペンギンの雛たちを見ることができてうれしかったです!

このたびはお忙しいなかたくさんの質問にお答えいただき、貴重な情報を知ることができました。ありがとうございました!


インタビュー日:2024年12月12日(火)