ホッキョクグマ

ホッキョクグマ・クッキーとチャッピー
ホッキョクグマ・クッキーとチャッピー

Q: ご飯は何を食べていますか?

A: 11時と14時30分の餌投げの時に、中くらいのアジと大きいアジをおやつ程度に食べています。
普段、部屋に帰った時の夕ご飯は、馬肉、鳥の中抜き、ソーセージ、リンゴ、ニンジン、大根の葉っぱ、ペレット(ホッキョクグマ専用)です。
冬の時期に餌の量を増やして、夏場はわざと肉の量を減らして、野生に近いようにしています。

(野生では)夏は北極と言っても氷が解けてしまい、(ホッキョクグマは)肉食ですがワカメとか海草を食べて飢えをしのぎます。秋になって氷が張ってきたら、アザラシを食べて、妊娠しているホッキョクグマはたくさん食べて、体重を倍まで増やします。その後翌春まで何も食べずに巣にこもって、11月から2月くらいまで、4から5か月くらいは絶食で巣にこもります。
それにならっていま馬肉の量を増やしています。

ご飯の量は、一日で

オス
馬肉5キロ アジ5キロ 丸鳥1キロ ソーセージ0.8キロ リンゴ0.5キロ ニンジン0.5キロ 大根の葉っぱ1.5キロ ペレット1キロ 中くらいのアジ3キロ 大きいアジ1.5キロ 
全部合わせて10キロちょいくらいです
メス
馬肉3キロ ペレット0.5キロ で、その他は同じです。

Q: 好き嫌いはありますか?

A: オスはサバやイワシが嫌いです(たまにアジの中に混ぜている)。いつもアジを食べているんですが、食べたことがあまりないサバやイワシはブヨブヨした感触が嫌で、一回くわえるんですけど、プールで吐き出します。
メスはリンゴ、大根の茎や根っこ、大きいアジの頭が嫌いで、お腹だけ食べて頭を残します。
オスが残したサバやイワシはメスが食べ、メスが残した大きいアジの頭はオスが食べていて、うまい具合に好き嫌いが分かれています。


Q: エサの時間のダイビングは、いつ頃までやってくれそうでしょうか?

A: だいぶ寒くなってきたので嫌がりだしましたが、今日(取材日)の11時は暖かかったので、2頭とも入ってくれました。日によってですが、暖かいと入ってくれます。

朝一におもちゃのブイで遊ぶことが多いんですが、それで体が水に慣れていると、11時に入ってくれます。最初は冷たいので、陸場からプールに入るように徐々に誘導します。それで、一回水に慣れてからでないと嫌がります。年齢も年齢なので、まだがんばれそうですが、あの子たちの気分によると思います。


Q: 毛の生え変わりはありますか?

A: 1年に2回、夏毛と冬毛に生え変わります。今はまだ夏毛が多いですが徐々に生え変わって冬毛になります。冬毛はもっと密になってぼわっとします。夏毛は苔が入り込んで緑色なんですが、冬毛になると、真っ白に変わります。

夏毛に苔が生える原因はまだわかっていないみたいです。ホッキョクグマの毛はストロー状になっていて、その中に苔が入り込んで緑色になってしまいます。そのため、夏はミドリグマになってしまいます。


Q: ホッキョクグマの肉球は固いのでしょうか?

A: 意外と固いです。ヒグマなどでは足の裏には毛はそんなに無いのですが、ホッキョクグマは氷の上を歩くので足の裏も毛が密に生えています。滑り止めのために、肉球は固くてザラザラしています。


Q: 姿が見えないときは、どこにいるのでしょうか?

A: 大きな擬岩の後ろが寝室になっていて、その後ろに行ってしまうと見えなくなってしまいます。今、16時まで2頭とも外に出しているので、運がよければ歩いてきてくれます。また、暖かいと、日向ぼっこをしています。夕方15時以降はおなかが空いてくるので、寝室の近くをうろうろしだすために、見えないことが多いです。

昔の動物園のコンセプトとして、寝室、産室は外から見えないように作っているため、大きな岩で隠して寝室は見ることができないようになっています。


Q: ホッキョクグマの体調管理(健康状態のチェックなど)は、どのようにして行っていますか?

A: ご飯の食べ方(残すもの)、ウンチを水でこして未消化物を見ています。体調や季節によって消化、未消化物が変わってきます。
オスのほうは、採血のトレーニングができているので、それで健康管理をしています。一般的な基礎検査をして今のところ何も異常は見られていないので、年の割には健康です。

メスのほうも手を出して採血をしていますが、まだメスは採れていません。
メスは来園当初からあまり目が見えておらず、年のために見えるほうの目も見えなくなってきました。そのため、おやつの時もアジを探すのが下手で、水や岩に当たる音や匂いでどこにあるかを判断しています。


Q: ホッキョクグマと人間の関係について教えてください。ホッキョクグマは、お客さんと飼育員さんの区別はついていますか?人を認識して、なついたりするものでしょうか?

A: 頭が良いので区別はついています。見た目やにおいや姿で判断していると思います。ある程度ご飯をあげている人にはなつきますが、近づきすぎると怒ります。小さいうちから人の手で育てられたクマの場合は一緒に中に入ったり・・・ということもできるようですが、彼らは(成長過程で)人が介入していないため中に入るのは危なく、ご飯をくれる存在として認識していると思います。


Q: 二頭の特徴について教えてください。

A: 体の大きさが違います。メスは推定で200から250キロ、オスは300キロありますが、メスのほうが体型がずんぐりむっくりで丸っこいです。オスはシャープで首が長いです。大きさが全然違うので、プールで立った時の高さが違います。一般的な見分け方としてはそのようなところです。


Q: あまり知られていなさそうな、面白いエピソードがありましたら教えてください。

A: オスは、慎重派で、知らないもの、新しいものにビビります。昨年、活魚(ニジマス)をストレス解消と運動不足解消を目指してプールに離してイベントとして行っていたんですが、オスは、興味はあるものの初めて見るものなので、おっかなびっくりプールに入っていました。サバ・イワシが嫌いで口にくわえるだけで食べないのですが、ニジマスにも興味はあるみたいで、プールでバンッと取っていました。ただ、結局食べずに、オスが捕まえたものをメスが食べていました。二人で仲良く、共同作業で狩りをしていました。

あと一般的には知られていないのが、ここのプールの造りとして、ホッキョクグマ運動場側から見ると、プールの水面に見えるお客様の頭が、海からアザラシがぴょこっと頭を出しているように見えるように作ったのですが、動物園生まれで野生のアザラシを見たことないので、飛び込まなかった、というエピソードがあります。
(北海道にお嫁入りしているキャンディも)

ホッキョクグマ・クッキーとチャッピー
ホッキョクグマ・クッキーとチャッピー

(ここからはSNSに送られてきた質問です。)


Q: のんほいは他の園より同居の時期が早いように思いますが、同居のタイミング等はどのような判断なのでしょうか?以前は繁殖期ではない時も同居があったような記憶です。差し支えなかったら教えていただきたいと思います。

A: (質問者は)詳しい方ですね。私は担当になって5年なんですが、彼らが来園した時は1歳だったようです。1歳の時にドイツの動物園からのんほいパークへ来たんですが、その時は3頭でずっと一緒に出していたようです。周年同居というんですが、1年中ずっと一緒に出していました。基本的に野生では繁殖期以外はオスとメスは別々に行動するんですけれども、相性によって一概にもどっちがいいとは言えないようです。

今まで子供を産んだことがなかったため、私が担当になってから「いろいろ試してみよう」ということで、ずーっと一緒にいさせる年を作ったり、繁殖期の時だけ一緒にいさせる時期を作り、繁殖期が終わると引き離して、交互展示と言って、午前メスだけ、午後オスだけという年もありました。2、3年前はそれをしていました。

今年はまたずーっと一緒にしたり、いろいろなパターンを試してみたんですが、それでも赤ちゃんは生まれなかったです。
一緒にするタイミングは、採血ができていればホルモンの上がり下がりで合わせられるんですが、、、今はウンチで調べているんですが、ウンチだけだと(ホルモンの上がり下がりは一応はわかるんですが)同居のタイミングまではわからないです。

オスはメスの発情が上がってくると、においをかぐために、「フンガフンガ」しだします。そして、メスのおしっこを嗅ぎに行きます。日中も、ずっと寝ているわけではなく、追尾と言ってメスの後をうろうろします。オスの行動が変わって、オスは部屋に入らすに、メスの部屋の前にいます。メスは、お尻のほうを気にしたり、掻いたり、舐めたり、おしりを床にこすり付けたりします。オスの「フンガフンガ」が強くなり、交尾に合わせてご飯をあまり食べなくなってくるのですが、そうすると、オスとメスを同居させてあげます。

そうすると、オスはメスのことを離したくないので、耳をかんで離さなかったり、ずーっとメスの後をうろうろつけたり。メスがお部屋に入られると交尾ができないので、通せんぼをしたりします。オスの状況によってメスと合わせるタイミングを見計らっています。

いろいろ試したんですが、うまくいかず、赤ちゃんが生まれることはなかったです。


Q: ホッキョクグマですが、2頭出ているはずなのに、姿が見えないときがあります。室内と出入り自由にしているのでしょうか。それとも単に隠れて見えないだけ?(笑)それと、おやつはいつも魚をあげてますが、野生だと主食はアザラシなので、やはり肉の方が好きなのでしょうか?

A: メスが妊娠しているかもというときは、夏場の暑さはホッキョクグマにはつらいので、お部屋を開けておいて、メスは出入り自由にしてあげたりします。だいたい10月、11月に出産が増えてくるんですが、その時は、外で生まれてそのまま食べてしまう時もあるので、もし外で生んでしまった時にも産室に戻れるように、開けておいたこともありました。

今年は交尾をしていないので、部屋の扉は閉めてあります。もし見えないときは、大きな岩の後ろで隠れていることがあります。

ホッキョクグマは、肉が一番好きです。全部並べると、一番最初に肉を食べます。好きなものから食べていきます。その次にニンジンが好きみたいです。甘いのと、パリパリする食感が好きみたいで、ニンジンを食べます。


(その後の雑談で)

メタセコイアがいっぱい生えているんですが、それをプールに入れておもちゃ代わりに遊ばせていることもあるんですが、その草とか木も食べます。風で飛んでくる落ち葉も食べたり。肉食なんですが、草も食べます。草を食べても問題ないです。ハロウィンのかぼちゃは好きではなかったようです。

キャンディが帰ってくる予定は今のところないです。
キャンディとチャッピーは相性が良くなかったみたいで、今の2頭になってからはすごく相性がいいみたいで、交尾とかもうまく行くようになったんですが、、、
年齢も年齢なので、もう繁殖は厳しいかもしれないです。


とても貴重な話を聞くことができました!ニンジンが好きというのには本当にビックリ!姿が見えないときは奥のほうに隠れているだけのようなので、ベンチに座って出てきてくれるのを気長に待ってみるとよいですよね!チャッピー、クッキー、いつまでも仲良く暮らしてほしいです。

お忙しい中、お時間をとってインタビューに応じていただいた飼育担当の方には本当に感謝です!ありがとうございました!


インタビュー日:平成28年12月9日(金)