(はじめに、SNSに送られてきた質問です。)
何歳頃かの記録がなくはっきりとは分かりません。
もともとオランウータン自体が、夜寝るときに木を集めてベッドを作って寝るという習性があって、それをお母さんがやっているのを見て習得します。
普通のオランウータンの場合は8歳くらいまでお母さんが子供を育てますが、ウランの場合は4歳の時にお母さんが死んでしまったので、それ以降は飼育係がハンモックを毛布で作ってあげていました。多分それを見て覚えてできるようになったと思います。
※参考:昔のオランウータン舎で、ウランちゃんがハンモックを作る動画です!
利き手は多分あると思いますが、オランウータン担当の人にどちらかと聞いてもイマイチ分からなくて。ウランもウータンも左の方がよく使う気がしています。ただ、エサをあげるときも、近い方の手や足を出すので…気がするという言い方になります。
オランウータンは、手も足も上手に使うので、人間みたいに利き手ばっかり使う事がなくて、しいて言えば利き手があるかもしれないですが、4本とも全部上手に使える感じです。
今のところまだ無いです。色々やっていますが、いい方向にはなかなかいってないかな。。。
今部屋を変えて、部屋の中で2メートルくらい離れた位置で顔を見る練習それさえも難しい状況で。今はそれができるようちょっとずつやっています。
毎日やっているわけではなく、最後に私たちが聞いたのが10月終わりか11月始めくらいなので、頻繁にやるわけではないんです。どちらかというと午後か夕方の方がやっていることが多いと思います。
たまたま足を運んで頂いた日に、タイミングが合って聞くのは難しいという感じです。しかも1~2分で終わってしまうので、…飼育員もあまり聞けないですね。
ウランもウータンも、飲み物や食べ物を口いっぱいに入れると口がパンパンで無茶苦茶可愛いと思います!
あとウータンはプレゼントをくれることがあります。プレゼントといっても自分が美味しいものを食べたいときにそこらへんにある石をくれたり、枝をくれたり、そういうのをくれるのがうれしいです。
当園で記録しているのは、1979年生まれのオスがいて「ウータロウ」という名前でした。その名前が公募で決まったそうなのでその人が付けられた子だと思いますが、1989年に園から出しているので、それ以降の記録は当園では残ってないです。中国に行って1991年の12月31日に死亡したというのが、ネットに上がっていたので確かだと思います。12歳で亡くなったそうです。
そのオランウータンがおそらく、ウランのお母さんと別のオスの子で、ウランのお母さんはスマトラオランウータンですが、お父さんの方はボルネオオランウータンで、種間交雑なのでもしかしたらそれで短命だったかもしれません。オランウータンは3種類いて別々の種で、当時は種が違うというのが調べられてなく、分からなかったので種間交雑になったようです。
(次は盛り上げ隊!からの質問です。)
1日に食べるエサですが、だいだい20種類くらいで、量は合計で3kgくらいです。大きく分けると果物・野菜をあげています。果物はリンゴ、バナナ、キウイ、オレンジで、野菜がキャベツ、小松菜、白菜、セロリ、チンゲンサイと、それとは別に牛乳、煮干し、鶏の卵、乾燥したプルーン、クルミです。飽きないように、季節によって果物を変えています。秋だと柿、時期によってブドウにしたりしています。果物の方が甘くて好きで、特に柿とりんごが好きです。秋はどんぐりも採れるので園内で拾ったどんぐりもすごい好きです。
ウランは小松菜やチンゲンサイの茎は食べないです。葉っぱの一番のやわらかいところしか食べないで、茎はそのままにしてあります。ウータンは結構食べます。逆に、セロリとか白菜は、ウータンよりもウランの方が食べます。キャベツはウランは食べなくて、ウータンしか食べないです。いろいろ好みに合わせて調整しながらあげてます。果物は食べてくれますが、果物ばかり食べさせると太るのでなるべく野菜を食べてほしいので、それぞれの好みに応じてあげてます。
オランウータンは樹上動物なので、例えば寝室だったらハンモックを設置したりしてオランウータンが夜寝やすいようにしています。あと、中は冷暖房を付けていて、夏は冷房、冬は暖房で過ごしやすい温度になるようにしたりしています。
ベタベタするのはオランウータンは好きではないので、直接触ることはあまりないです。基本的には、エサを渡すときに話しかけたりとか、場面ごとで話しかけたりしています。
ウータンも触られるのが好きではないのですが、手を握ってほしい時があって手を出してくるので、そういう時は握ったりなど場面に応じてやってます。仲良くなるために心がけていることは、オランウータンはゆっくりな動物なのでこちらもなるべくせかさず、オランウータンのペースに合わせてゆとりをもって接するようにしてます。
そうですね、声掛けはします。ウランもウータンも自分の名前が分かったりするので、呼んだりしています。
ウータンは控えめで少し臆病なところがあります。ウランは人が好きで自分の好きなペースで生きていける子です。
ウータンの臆病なところは部屋の配置で室内の部屋を変えた時に、ウランはすぐに別の部屋に移れましたが、ウータンは別の部屋になっているのが嫌で、最初は怖がって部屋に入れなかったり、部屋を変えたいから無理やりそこに行かせようとしたら少し怒って時間がかかった事がありました。
ウータンは別の動物園で生まれたので名前の由来は分からないです。
ウランはお母さんがウーコ、お父さんがバランだったので「ウ」と「ラン」をとってウランになったそうです。
オランウータンは「今日はこうだからこうしてね」みたいに割と話が通じたりします。ウランは言葉や単語が分かっているので、そういうのも理解して常に他の動物とは違うと思います。
人の顔の区別はできます。飼育員は今3人でやってますがそれぞれ見比べています。よく来るお客さんだったら顔を覚えていて、ウータンは寄って行ったりします。ウランはそこまでお客さんに媚びを売るタイプじゃないですが、なんとなく分かっているような顔はしていたりします。
それぞれ多分好きな人がいて、分かっていると思いますね。あと、男の人と女の人は、知らない人でも区別ができて、それぞれ対応の仕方が違うようです。ウータンは男なので、どちらかというと女の人に対して優しくしたり、そういうのはあります。
2頭とも大声で前のめりに話しかける人よりも、静かな感じでそっと見守ってくれる人の方が好きかなと思います。
おもちゃというか、2頭とも布は好きです。ウランは寝るときもハンモックを作っています。冬場は寒いので2頭とも毛布をかぶってて、手放せないものみたいな感じがあります。
おもちゃは新しいもの入れてそれを使ったら2、3日で飽きるので、「ずっとこれがお気に入りです」みたいなものは無く、新しいものが好きです(笑)。
あとウータンでいうと、夕方に牛乳パックで美味しい牛乳を飲んで、飲み終わると広げてきれいに舐めて、それを頭の上にかぶったりとかしてます。夜かぶったり、お尻に敷いたりしていて、朝外に出ていく時に8割か9割くらいは牛乳パックをわざわざ持って外に出てます。飲み終わっている牛乳パックは味がするわけではないのですが、牛乳パックは毎日大切に持ってますね。夜に私が帰ろうかなって時に、きれいにパリパリって響き渡ってます。
元々放飼場を入れ替えたかったということではなく、中で2頭が仲良くなるために部屋割りを変えて、結果として出入口も変わって、2頭(の外に出る場所)が入れ替わったという感じです。
以前の場所は3面からウータンが見えていましたが、いま出ている方は2面からしか見えなくて、お客さんからの距離が取れます。ウータンは少し人が苦手なとこがあるので、人から見えにくくなってロングコールをするようになればいいなと思いましたが、結局移動してもロングコールは増えなかったですね。
以前の放飼場(現在ウランちゃんのいる方)は屋根が短くて、雨の日はすごい濡れていました。ウータンは雨の日でも何の日でも割と外に出たくて、今の放飼場は雨の日でも濡れない大きさのため、割と快適に過ごしています。
ウランの方は、大きな変化はなかったですが、擬岩の所によく行くようになりました。ガラスからお客さんが見やすくなったと思います。前の放飼場は、ガラスのところが怖かったのか、ウランは全然ガラスに近づけなくて、お客さんから遠く見えづらかったと思います。いまの所は擬岩があってその上に行くので、お客さんから見えやすくなり、結構好評だと思います。
ウランは人間が髪を切ったりしたら気づいてくれます!髪を切ると朝室内で合った時に「触らせてよ」みたいな感じで手を伸ばしたりとか、普段眼鏡をかけていなくてたまにかける人が眼鏡をかけてきたら、その眼鏡を興味津々に見てきたりして、人の変化に気づくところが面白いと思います。
お忙しいなかたくさんの質問にお答えいただき、ありがとうございました!貴重なエピソードを聞くことができてうれしかったです!あと、ウータン君とウランちゃんがうまくいきますように・・・!
インタビュー日:2021年12月8日(水)
動物データベース:
スマトラオランウータン