ミーアキャット

ミーアキャットたち。いまこの場所では11頭が生活しています。(2019/12/12)

ご飯は何を食べているのですか?また、好物はありますか?

ニンジン、リンゴ、バナナ、馬肉のミンチ、鳥の胸肉、ドッグフードをやわらかくしたもの、ミルワーム(虫の幼虫)、総合ビタミン剤、カルシウム剤を添加してエサにして与えています。ミーアキャットは雑食です。好物は肉類と虫で、肉食の傾向が強いです。特にミルワームと鳥の胸肉が好きです。砂漠地帯の動物なのでサソリなんかも食べたりします。他にも小型の爬虫類も食べます。性格は意外と凶暴です。

過ごしやすい環境にするために何か工夫していることはありますか

冬場だと小屋の中に赤外線のコルツヒーターを設置しています。その日の気温をみながら、日中かなり寒いと「弱」にしてつけており、夜間はずっとつけています。また、夏場だと小屋の中に小さな扇風機を設置しています。土の中に巣穴を掘っているので、夏場は巣穴の中によくいます。

元々はミーアキャット用の展示場でなく、シママングースを飼育していました。マングースも穴を掘りましたが、ここまでではなかったですね。他の園館で深い土が入っている展示場はなくて、大体はコンクリート打ちっぱなしであったり、ちょっと土のある場所を設けていたりという形なので、ミーアキャットにとってはいい環境だと思います。僕らも埋めるのが大変なんですけど(笑)

時間があったら、朝のエサの時間に穴を埋めたりするのですが、数時間後にはボコボコになってしまっています。

他の動物と比べて仲間意識が強い気がするのですが、ミーアキャットならではの習性等はありますか。

他の動物種に比べて、群れ意識・仲間意識が強い動物になります。大体は、優位なオスとメスが一頭ずつワンペアいて、それに一緒になって生活している子供たちで群れが構成されます。

ミーアキャットならではの習性としては、子供への教育をすることが挙げられます。具体的には、自然界での獲物の捕え方等を教えます。最初は死んだサソリを子供に与え、そして次の段階で尻尾を取って毒を除いたサソリを与え、最後に生きたままサソリを与えます。段階を踏んで教育を進めていくことは、ミーアキャットならではの習性です。お母さんだけでなく、他の仲間たちも教育を行います。母親ではないメスも、授乳をして子育てを手伝います。

取っ組み合いをしているのは喧嘩ですか?じゃれているのですか?

取っ組み合いをしているのは、じゃれているというよりは、喧嘩に近いと思います。順位があるので取っ組み合いは起きてしまいます。

ときどき、みんなが同じ方向を見ていることがありますが、理由はあるのでしょうか。また、いつも屋根の上に登って立っているのは同じ子ですか?

見張りで空や周りを見ているときに、みんな同じ方向を見ていることがあります。

屋根の上に登るのは同じ個体ではなく、代わります。見張りはみんなで交代して行います。自然界だと猛禽類(タカやフクロウ)、大型のトカゲやヘビなどがいて、それらの動物から身を守るためにあたりをきょろきょろ見渡しています。

屋根の上では、見張りをしながら体を温めています。特に朝はみんなやっていて、陽の光の方を向いて、体を温めて体温を上げて、活動しやすい状態になってからエサを食べたりします。

交代で見張りをします(2019/12/12)

ミーアキャットの名前や個体の判別方法はありますか

名前は全員に付いています。子供だと見分けるのは結構難しいですね。見分けは、顔の大きさや毛並、傷を見て判断しています。全頭にマイクロチップが入っているので、その番号で個体識別できるようになっています。

さきほど説明した「優位なメス」はマロンという個体です。口のまわりに傷があって毛が抜けているのが「優位なオス」のアナゴです。この2頭の間に生まれた子供が多いです。

ミーアキャットの数が増えてきたようですが、エリア拡大の予定はありますか

今のところ展示目的でのエリア拡大の予定はないです。現在はこちらに11頭いますが、まだ後2.3頭は入れる状況になっています。

溝でうろうろしている子は、何をしているのでしょうか(落ちました?)

サブローという雄個体です。当園に一番最初に来た4頭のうちの1頭です。サブローはほかの仲間よりも弱く、みんなから離れて行動します。昔からサブローは下に降りています。人には慣れている子だと思います。昔、飼育員から餌をもらう際、下に降りていたときにもらっていて、その体験があって癖がついて降りてきているのかもしれません。

下に降りていた子。こちらにはよくサブロー君がくるみたいです。(2019/12/12)

他では話していないここだけの裏話があったら教えてください

ミーアキャットが掘っているトンネルは全部繋がってます。ただ穴が空いているだけ、ではないんです。

竹筒を使用したフィーダーをぶら下げています。振るとミルワームが落ちるようになっています。手前の丸太も、ドリルで穴をあけていて、ミルワームやお肉を詰められるようにしたフィーダーになっています。環境エンリッチメントのひとつで、少しでも採食の時間を延ばしレパートリーを増やす、といったことを行っています。

竹筒はフィーダーになっていて、ミルワームが入っています(2019/12/29)

ミーアキャットは、母親でなくても授乳したり教育したりすることを知って、とても勉強になりました。以前から気になっていたあの子がサブロー君だったことを確認できてよかったです。サブロー君推しでいきます!
お忙しいところ貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!


インタビュー日:2019年12月12日(木)

公式サイト・動物紹介:ミーアキャット
動物データベース:ミーアキャット